5月31日に駒場寮「明渡し」裁判の判決言い渡しが行われました。
この判決は、誤って占有認定されたとしてその取り消しを求めた8人のうち、3人の取り消しは認められましたが、第1審に引き続いて駒場寮「明渡し」を認め、また「仮執行宣言」付帯という不当判決でした。
たった14ページにまとめられた判決の内容も、ほとんどが上記占有認定についての「判断」にあてられ、それ以外に私たちが主張してきた部分についてはまったくと言っていいほど記述がありません。
この判決の詳しい分析についてはこれから行っていきますが、現在仮執行宣言が付帯している状況であり、まずは仮執行の停止要求を裁判所に行っています。学内でも、学部長に「仮執行を行わないこと」を申し入れていますが(当事者である学部長が「やらない」と言えば、裁判所に認められた状態でも仮執行は行われません)、小林寛道三鷹特別委員会委員長が「準備をすすめている」という発言を行うなど、現状は予断を許しません。
なお、仮執行宣言停止が認められた場合でも、そのための供託金が必要となってきますので、カンパや一時的にお金を貸していただける方がいらっしゃいましたら、早急に寮委員会までよろしくお願いします。
※仮執行宣言とは
日本は三審制であり、控訴や上告が行われた場合、もっとも長い場合で最高裁判所で判決が出るまではその判決は「確定」しておらず、したがってその判決を「執行」することは出来ません。最近話題の「ハンセン病」訴訟では、国が期限までに控訴を行わなかったので判決が「確定」となり、そこではじめて熊本地裁の判決が「効力をもった」ことになるのです。この駒場寮「明渡し」裁判でも、現在最高裁判所に上告中であり、判決は「確定」していませんから、いまのところ高等裁判所の判決をもって「明渡す」必要はないのです。
ところがこの「仮執行」宣言というのは、判決が「確定」する前に執行することができるというものなのです。これは、一般の裁判では特に緊急性の認められる場合で、上級裁判所で判決が覆った場合、回復可能な場合にのみ付帯するものです。例えば金銭の訴訟問題では、仮執行によって金銭が支払われたとして、上級裁判所で判決が逆転した場合には払い戻すという形で回復可能です。しかしながらこの駒場寮「明渡し」の仮執行宣言は、明渡したのち駒場寮の建物は速やかに取り壊すと学部当局は主張しているのですから、たとえ最高裁判所で判決が逆転したとしてもそれは回復が不可能です。ですからこの仮執行宣言付帯はやはり異常です。すぐさま停止するように裁判所に求めていきます。