以下のテクストは、9月11日の午後3時ごろ行なわれた共同記者会見にて表明 された「抗議声明」の全文です(誤字脱字などの細かな誤りは引用者の判断で修正してある)。


「学部掲示」 | 「1996年8-9月」 | 資料集成

1996年9月10日

抗議声明

     東京大学教養学部学生自治会委員長       (個人名)
           同      副委員長      (個人名)
           同      常任委員会書記長  (個人名)
     東京大学教養学部駒場学寮委員長        (個人名)
     東京大学教養学部学友会理事          (個人名)
           同                (個人名)
     東京大学教養学部駒場祭委員会委員長      (個人名)
     東京大学学生会舘委員会議長          (個人名)
     東京大学教養学部プレバフ棟委員会議長     (個人名)

一、本日、午前9時すぎごろ、学部当局の提訴にもとづき、東京地裁が駒場寮 生に対する「占有移転禁止の仮処分」(寮生が居住地点を移すことを禁止する 命令。立退を求める法的措置の条件づくり)を執行した。寮生が生活し、多く のサークルが活動しているにもかかわらず、寮のまわりにロープを張り巡らし、 10数名のガードマンが監視する中で突然、裁判の執行官など約30人が寮内に押 し掛けた。学生が長期休暇に入ったときを狙って学生に何の相談もなく突然、 行なわれたのである。自治会委員長が今回の措置に抗議するとともに、「「仮 処分」が執行されている現時点でこそただちに事情を説明し、話し合うべきで ある」と学部長に面会を申し入れたところ、学部当局は、「君の言っているこ とは筋は通っているが、今は会えない」と、それを拒否し、暴挙を強行した。 これは、本日の措置が、学生にまともに説明できないような、何の道理もない ものであることを学部当局が自ら認めたことにほかならない。

一、今回の仮処分は、明け渡しを求める本訴訟に先立つもので、法的措置を実 行に移し、廃寮を強行しようという狙いに沿ったものであると考えられる。学 内問題で大学当局が、学生を裁判に訴えるなどは東大史上かつてない異例の事 態である。私たちはくりかえし、駒場寮問題の話し合いによる解決を求めてき た。それにたいして、今回、学部当局がとった措置は、この話し合いの道をと ざすことによって、大学自治を自ら投げ捨てるものである。それは、大学教員、 教育者としての資格が問われるものであり、東大の歴史に汚点を残すものであ る。私たちは、今回の措置に厳しく抗議するとともに、あらためて法的措置を 中止することを強く求めるものである。

一、5月に行なわれた全学投票では約4200人が参加し、「駒場寮への電気ガス 供給再開、取り壊し中止、誠実な交渉を要求する」が74%で批准され、「誠実 な話し合い」を求める学生の意思が明確に示された。ところが学部当局は、不 誠実きわまりない態度に終始し、学生の再三に渡る交渉の申し入れを拒否し、 法的措置の準備をはじめた。
 そもそも現在の駒場寮をめぐっての今日の深刻な事態をつくりだしている原 因は、自分の主張を学生に押しつけ、学生の意見には一切耳をかさないできた 学部当局のかたくなな姿勢にある。学部当局は、4月以来、駒場寮の電気・ガ スの供給を停止し、寮の一部を破壊するという社会的にも許されない非民主的・ 非人道的暴挙を重ねてきた。これは、理性の府である大学にあるまじき事態で ある。
 私たちは、学部当局にたいし、「東大確認書」にもとづいて全学投票に示さ れた学生の意思を尊重し、大学自治のルールにのっとって、問題解決のための 誠実な話し合いのテーブルにつくことを強く求めるものである。

                              以上   


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