第2章 「三鷹国際学生宿舎」建設を強行

 11月の教養学部学生自治会代議員大会(教養学部学生自治会の最高議決機関)は「三鷹新宿舎建設と抱合わせの廃寮反対」の方針を決定する。さらに駒場寮は11月総代会で「廃寮を前提とするな」という旨の方針を決定する。当初から「三鷹」計画と駒場寮廃寮をリンクさせることを学生側は拒否してきたと言えよう。
 11月15日、28日に学生自治会が学部交渉を行うが、そこで学部当局は「予算請求は行う。ここで下げると学部の文部省に対して、東大全体に対してのメンツ・信頼を失う」「代議員大会決定・総代会決定は全学生・全寮生の意見を反映していない。つまり、この計画への強い反対はない、と解釈する」としてあくまで計画を強行することを主張した。代議員大会決定や総代会決定の意義を否定すること自体が許し難いことであるが、さらに学部当局は学生が計画に賛成であるという虚像を捏造するため、12月上旬から「無作為抽出」された学生に対して「アンケート」を行った。この「アンケート」は「三鷹」計画の問題点には触れないで、恣意的かつ誘導尋問的な内容であった。
 しかし問題はその欺瞞的内容にとどまらない。「素晴らしい三鷹宿舎」を描き出し、寮生や寮利用者ではない、駒場寮について当事者性の低い一般学生から支持を取り付け、それによって本当に寮を必要としている学生の意見を抹殺しようとしたのである。案の定、三鷹計画に賛成が多数を占める結果となる。以降これが学部当局が「学生は反対していない」とする根拠になった。そして学部当局は「話し合い」は続けるとしながらも、基本方針は何一つ改めることなく「もはやこれ以上遅延することは許され」ないとして一方的に計画の見切り発車を宣言したのである。

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