第18章 新歓活動の成功、そして寮存続へ

 寮食堂「破壊」工事防衛行動への対応で大変な時期を迎えていた駒場寮であるが、99年度も多くの新入寮生を獲得するべくROJCは着々と活動を進めいていた。新歓活動は、駒場寮の意義の再生産という位置付けのもと、毎年多くの労力を割いて行なわれる。そして、寮食堂封鎖工事に対応するのと同時並行して入寮パンフが作成された。
 昨年度のパンフの良い点を活かし、更に意義深いものを作り上げるべく連日活発な議論がかわされ、そして完成したのが99年度入寮パンフである。そして、完成したパンフを全ての受験生に渡しきるべく、東大の前期試験及び後期試験では全寮を挙げてパンフ配りを行った。更には、様々な手続きの際にも寮の意義・当局の不当性を丁寧に解説し、署名活動を行うなど、新入生に対して精力的に情宣活動を展開した。そして、その結果今年度も約50の新入寮生を獲得することが出来たのである。
 一方、当局は不当にも新歓の破壊をもくろんだ活動を行ってきた。学生が自主的に管理・運営しているはずの新歓オリエンテーションに不当に干渉を加えてきたのである。また、説得隊と称する当局派教職員が寮内に侵入し、寮生を個人的に恫喝したり、まだ過去の経緯などをよく知らない新入生に対し、「寮は『廃寮』に賛成した」などとうそをついてだまそうとしたり、さらにはあろうことか寮生居住部屋の鍵を破壊して侵入し、部屋を物色したりしたのである。これは明らかに不法侵入であり、当局の論理とも完全に矛盾する。つまり、当局は駒場寮問題を「裁判所に委ね」、建物の管理は裁判所に任せているとしていることに矛盾するのである。もっとも、当局の言うような「裁判所に委ねる」という主張も、北寮・中寮に対する「明渡断行仮処分」を不利と考えて取り下げたことや、係争中にもかかわらず先述したような実力的手段に訴えていることなどを考えても完全に破綻している。「廃寮」を実現する為には、うそ・暴力・実力・裁判・権力などありとあらゆる手段を用いるという醜い当局の本性が、寮存続運動を進めるなかでますます明らかになっている。それに対し、寮存続の理論はますますその正しさを実証し、普遍性を持つようになってきている。それに共感し、毎年新入寮生が増加し、そして寮自治が健全に機能しているというこの事実こそが、当局の一方的「廃寮」宣言から4年目に突入している現在も寮は健在であることの一つの要因であろう。

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