迷走する「廃寮」攻撃は、明寮強制執行後、益々暴力性を増していく。法に触れようが、学生を傷つけようが、駒場寮さえ「廃寮」できればそれでいい、という姿勢が益々如実に現れてくる。この攻撃に対し、駒場寮自治会はよく闘っているものの、これらの攻撃を逆手に取り、「廃寮」攻撃の源そのものを絶つまでには至っていない。「廃寮」攻撃の源を絶つためには、より多くの、より強い力が必要である。
一、寮風呂・北寮裏庇取り壊し
大学当局は、明寮「跡地」に、新施設を建設する計画を持っていた。6月27日、三鷹特別委は、その施設敷地と重なることを理由として、唐突に翌日(6月28日)北寮裏庇並びに渡り廊下を取り壊す、という「通告」を行う。これに対し、駒場寮委員会は断固とした抗議を行うことを決定、当日の工事を迎える。
大学当局は、これまで再三行ってきたようにガードマンを大量導入し、抗議活動を暴力的に封殺する。渡り廊下の上に乗った人間を引きずり下ろし、人が上に乗った渡り廊下をそのまま重機で破壊し、人を渡り廊下もろとも叩き落とす。また、特定の個人を狙ったリンチ行為も行われた。当日、ガードマンの直接暴力により4名が救急車で運ばれ、十数名が負傷する。それを教職員が傍観していたのはいつもの通りである。また、事前には北寮裏の庇と渡り廊下のみを取り壊すと言明していたにも関わらず、当日抜き打ちで寮風呂をも取り壊す。
明寮取壊が不当とは言え曲がりなりにも裁判所の決定に従っていたのに対し、この北寮裏庇・渡り廊下・寮風呂の取り壊しは、裁判所の決定すら出ていない部分に対する、全くの直接暴力によるものである。
また、ガードマンが必ず従わなければならない「警備業法」の第八条には、「他人の権利及び自由を侵害し、又は個人若しくは団体の正当な活動に干渉してはならない」とある。当日のガードマンの暴力行為は、明確にこの条文に違反する違法行為である。このような違反を、ガードマンが「自主的」に行うことは考えられない。そこには、雇用主体である大学当局の何らかの指示が行われた蓋然性が非常に高い。
二、第二次占有移転禁止仮処分・本訴申し立て
8月7日、1996年九月十日の20名に対する占有移転禁止仮処分に加える形で、第二次の占有移転禁止仮処分の執行が、駒場寮自治会・全日本学生寮自治連合・東京都学生寮自治会連合の三団体と24名の個人に対して行われた。この仮処分も、前回仮処分と同様に「20+24名だけが寮全体を共同占有している」という虚偽の申請に基づくものである。実際は、寮生は倍以上存在するし、また24名中には、実際には駒場寮を占有していない者も多数含まれている。中には、「駒場寮廃寮に反対する集会に参加していたから」という程度の理由で名前が挙げられた人間も存在する。
さらに10月1日には、この誤った占有認定に基づいて、駒場寮北中寮を対象に本裁判の申し立てが行われることになる。裁判の詳細については、本冊子の「駒場寮は違法か」を参照されたい。