駒場寮「廃寮」の不当性シリーズビラ(3)
暴力的手段からは何も生まれない

 前回のシリーズビラでは、駒場寮問題に関して、教養学部当局が学生・寮生の反対を踏み潰して既成事実化を押し進めてきたことについて解説しました。決定過程において重大な問題があった、不当な駒場寮「廃寮」強行のための様々な形での学部当局の「不当」上塗りは、まさに暴力的に、さらに激化していきます。
 駒場寮委員会では、駒場寮「廃寮」の不当性について皆さんによく理解してもらうため、ビラを全4回にシリーズ化して作成しました。シリーズ三回目である今回のビラでは、「廃寮宣言」後に繰り返されてきた、電気・ガス停止での寮生追い出しやガードマンを用いた強制排除・破壊工事などの暴力的手段について、できるだけわかりやすく説明していこうと思います。

ガードマンを用いた強制排除・暴力的破壊工事強行
 91年10月、臨時教授会において電撃的に駒場寮「廃寮」が「決定」され、その後、様々な形で学生側・寮生側は反対の意志を示してきたにも拘わらず、学部当局は学生の声を一切無視し、96年4月、一方的に駒場寮の「廃寮」を宣言しました。その後は、一度決めたからにはどんな手を使ってでも「廃寮」するのだ、あらゆる手段を用いて寮生を追い出してやるのだ、とばかりに、学部当局は「本性」をむき出しにしてきます。教官を動員して寮生個人への恫喝やスパイ活動を行わせる「説得隊」のほか、金で雇った「ガードマン」を大量に大学構内に導入して、誠実な話し合いを求める寮生を強制的に排除したり、個人に対し直接的に暴力をふるわせたりして、駒場寮の寮施設をムリヤリ破壊したりしてきたのがそれです。教育研究機関である大学において、自らの問題の解決のために暴力的手段を用いることが許されないことであるのは言うまでもなく、社会的常識に遡って考えるまでもありませんが、ここで見逃してはならないことは、学部当局は一方で「話し合う用意がある」というようなことを言いながら、97年からはそれに加え「寮問題を公的判断に委ね」るとして「法的措置」を持ち込んでおきながら、他方では度々このような暴力工事を繰り返してきたことです。これが、理性的な話し合いにより、駒場寮を残したいと主張する学生への答えなのでしょうか。とにかく駒場寮は何としても潰す。駒場寮への実力攻撃には、学部当局の駒場寮問題への態度が凝縮されています。「当局の意志に従わないものはツブす」「学生は意志決定の主体ではない」ヘルメットと制服に身を包み駒場キャンパスに現れたガードマン達の姿が、それらを雄弁に物語っているのです。

1997年4月12日〈明寮フェンス工事〉明寮前に到着したパワーショベル。学部当局によって大量動員された新帝国警備保障のガードマンが周りでスクラムを組む。「ユンボ様をお守りしろ!」

電気・ガスの供給停止による「兵糧責め」=生活破壊・追い出し攻撃
 学部当局の手段を選ばない「廃寮」攻撃は、ライフラインの切断という形でも行われました。学部当局は駒場寮への電気・ガスの供給を停止するという暴挙を行い、寮生の生活を破壊し、「廃寮」反対の運動を「兵糧責め」により継続不可能なところまで追い込み、寮生を追い出してしまうことで、駒場寮問題を「解決」しようとしたのです。その後、寮生の努力により様々な復旧がなされ、その都度学部当局によって供給停止の挙がなされてきましたが、学部当局のこのような姿勢は改めるべきであると言わざるを得ません。駒場寮問題は、当事者間での話し合いによって解決すべき問題です。一方が他方の存在を直接的にツブしてしまうことで「解決」してよいものではないはずです。しかも、電気・ガスの供給を停止する、という事例に至っては、一方が完全に他方の当事者に対し優位に立っている、つまり、学部当局は駒場寮への電気・ガスの供給の停止/再開を自由に出来てしまう状況に於いては、なおさらです。ナイフを首に突きつけておきながら、金を出す出さないは自由に選ばせてやると言っても、それは自由ではないのと同じことです。このような状態で、「話し合う用意がある」といっても、全く「話し合い」は意味をなさないのです。実際、交渉では電気・ガスの問題については、学部当局は「出ていかない方が悪い」「出ていくと約束したら電気をつけてやる」という態度に終始しているのです。

1996年4月
当局、「廃寮」を宣言
「説得隊」が大量動員され始める
パワーショベルで寮裏の渡り廊下を破壊
当局、駒場寮への電気供給を停止
1996年9月
「占有移転禁止仮処分」執行で、駒場寮問題において初のガードマン導入
当局、文書で「寮問題を第三者の公的判断に委ね」「このような事態に立ち至ったことは残念」
1997年2月
学部当局、明・北・中寮三棟についての「明渡断行」仮処分提訴
1997年3月
明寮「明渡断行」仮処分強制執行、任意に明け渡すと伝えたにも拘わらずガードマン大量動員、「厳戒態勢」を演出、ドサクサ紛れに「非債務者」まで追い出し。
明寮に寮生が残っているにも拘わらず明寮を取り囲む工事用フェンス設置を策動
1997年4月
第二次明寮「明渡断行」仮処分強制執行、ガードマン動員により「非債務者」まで追い出し。
明寮フェンス工事。ガードマン導入により抗議する学生を強制排除。
1997年6月
当局、ガードマンの大量動員により北寮裏庇・渡り廊下・寮風呂を暴力的に破壊
1997年10月
当局、「明渡」本裁判を東京地裁に提訴
1999年1月・2月
当局、ガードマンを大量動員、学生を暴力的に排除し、南ホール周囲への工事用フェンス設置を強行

「廃寮計画」のいったん取りやめ、寮問題の話し合いによる解決を求めよう
 学生は大学社会に属しています。その社会で、電気・ガス供給停止やガードマン導入に象徴されるような事態が起きています。この事態をどう考えるのか、放置してよいのか、それが一人一人に問われています。そのような問いに答えることこそが所属する社会への責任の果たし方ではないでしょうか。口を閉ざして白紙委任することからはファシズムしか生まれません。それは必ず学生に撥ね返ってきます。全ての学生が結束して学部当局の「廃寮」攻撃に反対するところから始めねばならないのも、そのためです。


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