駒場寮が存在する理由〜〜〜駒場寮の意義を考える シリーズビラ No.2
寮自治とは寮での民主主義の実践です。
駒場寮では寮生が寮自治によって寮を運営しています。

●前回までのあらすじ
 駒場寮は、「教育の機会均等」を保障する学寮として、学生の負担にも耐え得る安価にて住環境を提供してきました。これは、東大が、東京という物価・地価の高い地域に在る以上は、苦学生が教育を受けるための経済面での障碍を低くする学寮が必要不可欠だからです。教養学部当局が駒場寮の代替施設であると主張する三鷹宿舎は、最低限必要とされる金銭的負担が駒場寮の3倍以上にもなることや、学生による寮運営=寮自治による 学生の視点からのflexibleな対応ができないことなど、駒場寮の代替施設とはなり得ていません。

■自治とは、民主主義の実践のこと
 駒場寮には寮自治があり、大学には大学の自治があります。大学の外を見ても、都道府県や市町村などは地方自治体と総称されているし、日本も主権在民という名で表される自治団体です。このように近・現代社会では、大抵の組織は構成員自身もしくは構成員の代表を通じた自治によって運営されていることは、皆さんご承知の通りであると思います。構成員個々人の主体的な意見が、組織の運営に大きく、そして正しい形で、(即ち民主的に)反映される自治という仕組み、これが円滑に機能することによってのみ、理想的な民主主義が実現すると言っても言い過ぎではないでしょう。

■駒場寮における寮自治
 さて、それでは、駒場寮における寮自治は、実際にどのように行われているのでしょうか。
 駒場寮では寮内の全てのことが寮生自身の手によって議論され、決定され、実行されています。このような寮自治は、一高時代の全寮制自治に流れを発し、その後の長期に渡る自治の慣行に基づいて確立されてきたものです。その中で作られてきた寮規約と寮規定が、これまでの駒場寮の運営の基本的な枠組みを形成してきました。特に、寮規約は寮の憲法に相当するものとして、寮自治の根本としての役割を果たしています
 その他にも寮自治を実質的に確立する二つの権利として、入退寮選考権と財政管理権があります。入退寮選考権は、個々の学生の経済状況を考慮して必要に応じて入寮許可を与えることや、今後の寮自治の健全なる担い手を自分達で作り上げていくために、無くてはならない権利です。また、財政管理権は寮運営の根幹を占めるお金の問題であることから、自治による寮運営を行っていく上で、この権利が無くてはならないことは言うまでもありません。
 これらの権利に裏打ちされた寮の運営は多岐に渡るため、寮生にかかる負担も時に軽いものではない場合もありますが、各寮生の十分な自治意識なしにしっかりした寮運営は成立し得ません。自治を掲げる我々は、自由度の高い運営を行うことができますが、それは同時に極めて大きな責任を伴うものなのです。

■寮自治を支える機構
 寮生の総体=寮自治会を代表する、寮の最高決議機関として存在するのが、総代会です。駒場寮の総代会は間接民主制を取っており、各部屋から一人ずつ選ばれた総代が各一票の議決権を持って決議に与ります。総代会は寮の最高決議機関ですから、総代会の決定に従って、寮委員会やその他の組織が活動することになります。
 駒場寮を国家に例えるならば、国会に当たるものが総代会であり、内閣に相当するのが寮委員会です。寮委員会は駒場寮の執行機関として、全寮生の直接投票で選ばれた寮委員長の下に組織され、寮全体に関わる問題について集中的な議論を行う場となります。寮委員会内には、広報を担当する部局や部屋の管理をする部局など、いくつかの部局が設けられており、分業による効率的な運営が図られています。  この他に、裁判所に当たる懲罰委員会、会計監査を行う監査委員会、夏・秋などの寮祭を切り盛りする寮祭実行委員会、新入寮生の募集を引っ張るオリエンテーション実行委員会など、いろいろな委員会があります。
 このように、駒場寮の自治は、少なくとも制度の面に於いては、これまで長い間掛けて積み重ねられた経験のもと、非常に完成度の高いものとなっています。もちろん、足りない部分は今後の修正が必要なわけですが、このように完成度の高い自治機能を持った駒場寮を安易に潰すことが、今後の大学自治・学生自治にとって大きな痛手となることは目に見えていると思います。冒頭で述べたとおり、いまや自治=民主主義はあらゆる組織で取り入れられています。このような制度を、なぜ学生寮からは無くそうとするのか(三鷹宿舎の自治は非常に限定されています)。自治=民主主義を守り実践してゆく場として、駒場寮の意義がまた一つ明らかになったことと思います。(次号もよろしく)

1999.10.28
駒場寮委員会


戻る
Komaryo Official Homepage / komaryo@netlaputa.ne.jp