駒場寮が存在する理由〜〜〜駒場寮の意義を考える シリーズビラ No.1 |
「教育の機会均等」を保障する場として。 |
■はじめに・・・・・・駒場寮委員長より。 駒場寮は現在、1996 年4 月の教養学部当局による一方的「廃寮」宣言がなされたままの状況にあります。しかし、私たち駒場寮生は、今もなお駒場寮に住み続け、「廃寮」宣言の撤回と駒場寮存続を求め続けています。これは、私たち駒場寮生が自分達のことだけを考えて駒場寮存続を求めているからではありません。駒場寮という制度や存在の有する様々な意義・価値を維持し、将来に伝えていくことが、今後の駒場キャンパスや大学・社会にとって望ましいことだと考えるからに他なりません。 このビラでは、私たち駒場寮生が考える駒場寮の意義・価値を、駒場キャンパスに在籍する皆さんに数回に分けて伝えていきたいと思います。そして、駒場寮が駒場キャンパスに存在することの理由とその貴重さを、皆さんにも理解してもらいたいと思います。これは、これまで長い間こじれてきた駒場寮問題の本質的解決を実現するには、皆さんの関心と行動が不可欠であるから、また、駒場寮問題は今後の駒場キャンパスの在り方を大きく左右する問題であり、そういった意味で皆さんが自分のこととして考えるべき問題でもあるからです。 なお、私たちが駒場寮「廃寮」宣言の撤回を求めるもう一つの理由として、教養学部当局による「廃寮」強行の不当性があります。こちらは裏面の『駒場寮「廃寮」の不当性 シリーズビラ』に譲ることにしたいと思いますが、教養学部当局による駒場寮「廃寮」が実際にどのように行われたか、大学としてあるべき姿と照らし合わせて是非読んでみてほしいと思います |
■福利厚生施設としての駒場寮
駒場寮は、学生が居住するための学寮として、これまで優れた役割を果たしてきました。特に経済面では、現在でも寄宿料・水光熱費・寮自治会費合わせて一ヶ月6,500円の経常費の負担で抑えられており、厚生施設としての役割を十分に果たしています。もちろん、憲法にも謳われている「教育の機会均等」(憲法第26 条)を徹底するならば学費も含め全て無償でなければならない訳ですが、現実的にそれが困難な中で、駒場寮は学生の負担にも耐えうる安価にて住環境を提供してきました。
このため駒場寮は、住宅不足が極度に深刻化した戦後の時期に非常な威力を発揮したのみならず、その後も少なからぬ苦学生にとっての救いの場となってきました。これは、東大が東京という物価・地価の高い地域に在りながら、東大で教育を受けたいという学生の教育の機会均等を保障するためには、苦学生の経済面での障碍を軽減する学寮を維持することが必要不可欠であることを物語っています。このことは、今年も「駒場寮がなければ東大に通うことができない」という新入生が、教養学部当局による「違法」な宣伝と妨害にも拘わらず、50名近くも駒場寮に入寮したことからも、明瞭に見て取ることができます。
一ヶ月の費用 | 寄宿料 | 水光熱費 | 交通費 | 合計 |
---|---|---|---|---|
駒場寮 | 寮自治会費込みで\6,500 | \0 | \6,500 | |
三鷹宿舎 | \8,300 | 約\10,000 | \2,600 | 約\21,000 |
■三鷹宿舎では金銭的負担が数倍に
教養学部当局は「駒場寮の居住機能は三鷹国際学生宿舎へ移転する」と主張していますが、金銭面での駒場寮と三鷹宿舎の比較を上の表に示しておきました。この表からも分かるとおり、三鷹宿舎では最低限必要とされる金銭的負担が駒場寮に比べて非常に大きくなります。また、表にはあらわれない部分でも、宿舎からの通学にかかる時間なども時給に換算すれば莫大なものとなります。このように、三鷹宿舎で駒場寮の代替ができるとする教養学部当局の主張は、苦学生にとっての「教育の機会均等」を一層有名無実化するものであり、苦学生にとっての福利厚生施設としての駒場寮の意義を代替しようとしているとは到底言えません。
■寮自治による可能性の増大
今後も述べていくことになると思いますが、駒場寮は自治寮であり、駒場寮の運営は寮自治会の意思決定に任されています。このため、寮自治会の判断によっては個人個人の状況に応じて学期途中の時期からでも入寮を認めたり、留年者の在寮も認めています。こういった三鷹宿舎では実現できないことを状況に応じて実践できるのも、寮生による寮自治が行われている駒場寮の強みであり、今後の発展性も含めて駒場寮の意義は大きいものであることが分かります。このように、様々な点で可能性を持った駒場寮が存在することの意味が、分かって頂けたことと思います。では。次号もお読みくださいね。
1999.10.26
駒場寮委員会