明寮「明渡断行」仮処分時に当局側が裁判所に資料として提出した「キャンパスの再開発」地図

明寮「明渡断行」仮処分時に当局側が資料として提出した地図
 これだと取壊し建物と建設建物がごちゃごちゃして一見キャンパスが狭隘化しているように見えるが、下図のように取り壊し建物を地図から取り除くと、かなりの空き地ができることが分かる。
 例えば北寮「跡地」に建設が予定されている「プール」は、生協食堂「跡地」に余裕を持って建設できる面積であるし、中寮に少し引っ掛かっている「食堂」も、現在の図書館「跡地」に入る大きさである。「食堂」を図書館「跡地」や現在の食堂の位置に再建することにすれば、中寮に引っ掛かる建物はなくなるので(中寮の南側に建設予定とされている「美術館」の位置には現在「新図書館」が建設されているが、「図書館」にしろ「美術館」にしろ中寮には引っ掛からない)中寮を残すことができる。

取り壊し建物を除いた地図。空き地がたくさんある。
取り壊し建物を除いた地図。空き地だらけになることがお分かりいただけるだろうか。

空き地となるところ

  • 現図書館「跡地」(跡地に何も建たない)
  • 現図書館書庫「跡地」(跡地に何も建たない)
  • 現生協「跡地」(跡地に何も建たない)
  • 現プール「跡地」(跡地に何も建たない)
  • 現9号館「跡地」(跡地に何も建たない)
  • 現5号館「跡地」(跡地に何も建たない)
  • 現7号館「跡地」(一部が教室にかかるのみ)
  • 4号館「跡地」(現在は取り壊されて更地。半分ほどしか建物にかからない)
  • 現中寮「跡地」(一部が食堂に引っ掛かるのみ)
     なお、このように杜撰に見える「キャンパス計画」であるが、当局の陳述書によると、必然のものであり、変更には多大な労力と時間を必要とするらしい。
     以下に引用する。
     また、施設の高層化も「サークル棟を四階建て以上にすれば、せっかく保全した樹木の醸しだす景観を損なってしまうだけでなく、全体として周囲の環境との調和も失われてしまうことになり、したがってサークル棟の高層化は考えられません(明寮「明渡断行」仮処分疎甲第五八号証)より引用」ということらしい。
     この文言を「詭弁」ととるか「正当である」ととるかは読者の自由であるが、「新図書館」建設や寮食堂破壊時に大量の樹木を伐採しておきながら「樹木の保全」「環境との調和」とはいったいどういうことなのかと当局に問いただすことは必要だろう。

     もう一つ、この計画が「絵に描いた餅」であると想起される理由がある。
     それは、取り壊し建物と建設建物の多さである。以下にそれを列挙するが、地図だけ見ても銀杏並木より北側の風景が現在とは全く違うものになることは言うまでもないことだろう。
    取り壊し建物 建設建物
    1. 駒場寮3棟(明寮・北寮・中寮)
    2. 寮食堂
    3. 寮風呂
    4. 第1研究室
    5. 学生会館・生協食堂
    6. 旧物理倉庫
    7. 事務室(101号館)
    8. 購買部(105号館)
    9. プール(屋外)
    10. 3号館(研究室)
    11. 4号館(研究室・教室)
    12. 5号館(教室)
    13. 6号館(教室(実験))
    14. 7号館(教室)
    15. 8号館(研究室・教室)
    16. 9号館(研究室)
    17. 図書館
    18. 図書館書庫
    1. サークル室棟4棟(現在はキャンパスプラザとして2棟がある)
    2. サークル棟
    3. 購買部
    4. プール(屋内)
    5. 多目的ホール(現在のキャンパスプラザC棟)
    6. 食堂
    7. 美術館
    8. 劇場
    9. 留学生センター
    10. 数理U期(建設済み)
    11. 図書館
    12. 事務室(101号館の代替)
    13. 研究室(8号館・9号館の代替)
    14. 研究室(3号館・6号館の代替)
    15. 教室(5号館7号館の代替)
    16. 情報棟(3号館・6号館の機能?)
    17. 15号館2−2(建設済み)
    合計19棟+1(プール) 合計20棟

     以上見てきたとおり、現在ある建物を大切に使おうという意思はまったくなく、スクラップアンドビルドの考えにより、「老朽化」(本当に老朽化しているならば、7号館などはこの計画ではすでに取り壊されてなくなっているはずであるが、現在も問題なく使われている)の名のもとに次々に新しいものを建設する行為が果たして社会的に受け入れられるものなのかどうかは、大いに議論の余地があるところである。(これがすべて実現したとしたら、費用はいったいいくらかかるのか、想像もつかない。)

     以上見てきたように、この計画も全く実現性がなく、またキャンパスの狭隘化も詭弁であることが分かるであろう。


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