駒場寮問題の基本

《脚注》

(注一) 三鷹宿舎

 正式名称は「三鷹国際学生宿舎」。完全な新々寮。1991年10月に突如、三鷹寮と駒場寮を廃寮として三鷹国際学生宿舎を建設するという計画が発表された。多くの学生・寮生の反対を押し切り計画は強行されたが、計画強行の非民主性に批判が集まり1000人収容の計画は現在定員600名にて頓挫している。この計画の実行に当たった三鷹国際学生宿舎特別委員会は、駒場寮「廃寮」実行委員会として窃盗・監禁・暴行・ガードマン導入他あらゆる物理的寮生叩き出しを指揮し、交渉の席にあっては挑発・侮辱を繰り返してきた。

(注二)キャンパスプラザ

 CCCL計画において駒場寮のサークル機能と学生会館そして北ホールの代替として計画されたサークル棟及びホール。現在A〜C棟が明寮跡地に存在する。しかし駒場寮のサークル機能は居住機能と独立で存在できるわけではなく、代替とはなりえない。また24時間使用できないなど問題点は多い。なにより学生が望みもしなかったのに計画を立て、それを口実に明寮を取り壊したのはキャンパスプラザ建設の不当性を浮き彫りにしている。また整備計画において既に学生会館のキャンパスプラザ増築としての建て替えが学生との合意もなく決められている。

(注三)「キャンパス整備計画」

 正式名称は「駒場Tキャンパス第一次整備計画」かつてはマスタープランといわれていた駒場キャンパス全体の再開発計画。1998年12月の教授会で発表され、駒場の将来を決定する極めて重い計画にも関わらずその教授会の中において拍手承認された。当然学生との協議ももたれていない。反対を押し切っての図書館の一研跡地建設、学館立て替えの事前決定、依然として駒場寮「廃寮」など問題は極めて多い。最終段階においては教室・研究棟の統合によって空き地だらけとなることが明らかになり、当局の「駒場寮廃寮はキャンパス狭隘化のため」という言説の嘘が明らかになった。駒場寮を残しながらキャンパスを整備することは可能なのである。

(注四)CCCL

 1993年6月に発表された駒場寮の跡地計画であり、マスタープラン(当時)における東部地区再開発計画でもあった。駒場寮跡地を福利厚生及び風致ゾーンとして位置づけ、そこに学生会館などの学生の施設を押し込める計画である。さらに当初は60億の予算全てを募金でまかなう予定であったが、このバブル的発想は募金がまったく集まらず即座に頓挫した。ところが1998年12月の整備計画においてCCCL計画は大きく変更されており、当局も「CCCLは一つの案に過ぎなかった」「教授会で承認されたことはない」「絵に描いた餅であった」などと自ら計画の破綻・崩壊を認めざるをえなくなった。しかしカラーパンフレットまで配り学生への徹底的なプロパガンダを行い、さらに駒場寮の跡地計画としてその実行のために学内問題を裁判にまで持ち込み、強制的に明寮を取り壊したことは何であったのか。学部の二枚舌のあまりの非道さには呆れるしかない。

(注五)二・一八通達

 正式名称は「学寮における経費の負担区分について」。1964年2月18日付の各国立学校長宛文部省初等中等教育局長・文部省大学学術局長・文部省大臣官房会計課長通達(文大生第一六二号)。略称「二・一八通達」。学徒厚生審議会答申に基づき、「学寮の管理運営に要する経費の負担区分の基準を設定」したもの。各大学で反発を引き起こし、東大でも1984年までは大学当局にも無視されていたものであるが、会計検査院の指摘=圧力を通じて全国的に徐々に貫徹されていった。

(注六)「占有移転禁止」仮処分

 明け渡し訴訟のための前段階となるもの。どこに誰が住んでいるのかを法的に確定させるもので、この執行が行われると、以後実際に住んでいる人が入れ替わったり新たに入居者が増えても、法的には執行時点で確定された人が住み続けているものとされ、明け渡し判決が出た場合には確定された人として、あるいはその人と一緒に出て行ねばならない。一度確定された占有権を他人に委譲することは出来ないということである。しかし、この仮処分だけによって強制排除されることはないし、占有が認定された場合は合法的に使用することが認められる。

(注七)旧三鷹寮敷地の不効率利用指摘

 「三鷹国際学生宿舎」計画の発端。1988年に大蔵省関東財務局が三鷹寮の敷地を「不効率利用」国有地に指定したこと。これは三鷹寮が自然に囲まれた広い敷地をもっていたことによるものである。駒場寮廃寮の背景の一つである。

(注八)○管規

 正式名称は「○○大学学寮管理運営規則(参考案)」。1964年8月付で文部省より示されたもの。学寮管理運営規則のひな型で、新寮予算交付の条件とされる。内容は、大学当局の管理運営権を明確にし、光熱水料等の経費の寮生負担を明記し、その他、部外者の宿泊禁止・当局による掲示の許可制なども定められている。