平成11年5月26日
東京大学教養学部

学生の皆さんへ 99

1.着々と進む駒場のキャンパス計画

 新学期が始まって1ヶ月以上がすぎ、新緑のなか皆さんも本格的に学業や課外活動に取り組んでいることでしょう。駒場キャンパスでは、1万人におよぶ学生、大学院生、教職員が、活動しています。教養学部では、より充実したキャンパス・ライフを実現させるべく、さまざまな努力を続けています。現在進行中の CCCL(Center for Creative Campus Life)計画も、将来計画(マスタープラン)の重要な柱のひとつです。

 CCCL計画は、旧駒場学寮の跡地を含むキャンパスの東側に新たな福利厚生施設を建設し、駒場キャンパスを刷新しようというもので、1993年11月に提案されました。以来、計画は着々と進行し、95年には「シャワールーム」、96年には「伝統文化活動施設・柏蔭舎」、98年には「キャンパスプラザA・B棟」と「多目的ホールC棟」が完成し、サークル活動や多文化交流活動の新たな拠点となっています。

 さらに駒場キャンパスのマスタープランでは、旧駒場学寮跡地に新図書館(2万m2)、スポーツスクエア(3000m2)、食堂・エネルギーセンター(5000m2)、購買部(2000m2)および課外活動施設<学生会館>(3200m2)の建設が予定されています。現在の図書館面積は8000m2ですが、新図書館は、新設備や閲覧・学習室をはじめ、多様なメディアに対応し柔軟な利用を可能にする国際地域交流メディアセンター(6000m2)を含んでいます。スポーツスクエアは、50m温水プールや課外活動にも使用できる体育館フロアスペースおよびトレーニング室を備えています。これらは、東京大学全体のキャンパス計画として認められ、いずれも概算要求事項として国の予算で建設するものです。〈学生会館〉の概算要求については、学部と学生との合意が得られた時点で申請を行うということが、話し合いの上で合意されています。〈学生会館〉の建て替え面積に関しては、現在の学生会館の面積を下回らない計画になっています。くわしくは、「駒場1998」に掲載されている「駒場キャンパスマスタープラン策定について」を参考にして下さい(付図参照)。

 旧駒場学寮と旧三鷹学寮が果たしてきた宿舎機能は、三鷹国際学生宿舎に統合され、現在605戸まで完成しています。さらに395戸分の宿舎と第2共用棟の建設が予定されています。

2.旧駒場学寮の廃寮問題とは

 これまで教養学部では、91年10月に「三鷹国際学生宿舎建設計画」を発表以来、三鷹国際学生宿舎特別委員会を窓口に、この計画をめぐって学生諸自治団体と400回にものぼる話し合いを重ねてきました。また公開説明会を開くなどして計画の内容を詳細に提示し、学生の皆さんからの要望を取り入れ、疑問にも答えてきました。三鷹国際学生宿舎の住居形態や入退寮選考方法の案出、管理運営規則などは、旧三鷹学寮委員会と話し合いの上、作成しました。この間の経緯は、学部のホームページ(http://www.c.u-tokyo.ac.jp/hairyo/)で関連資料を公開しています。このホームページには、廃寮直後の96年5月に、学部と学生自治会および学生諸自治団体が、共同で作成した廃寮のプロセスを詳しく年表化した資料も含まれています。ぜひ参考にしてください。

 三鷹国際学生宿舎の収容人数が、旧三鷹学寮と旧駒場学寮の収容人数を満たした95年4月に、学部は旧駒場学寮への入寮募集を停止し、翌96年3月末日をもって旧駒場学寮を廃寮としました。しかし、旧駒場寮自治会は、学部の警告を無視して「入寮募集」を続けてきました。廃寮となって用途廃止となれば、国の会計上から旧駒場学寮建物への電気・ガスの供給はできません。学部は、あらかじめ96年3月にその旨を通告し、廃寮後に電気・ガスの供給を停止しました。旧寮生たちは、98年秋に旧寮建物への電気供給を求める仮処分を、東京地裁に申し立てましたが、同年12月24日に却下されています。裁判所の決定書には「不法な占有を継続しているに過ぎない寮生に、本件建物を占有し、そこで電気を利用することについて法的保護に値する利益があるということはできない」、という判断が示されています。

 廃寮措置の後も学部は、学生自治会及び旧駒場寮自治会との話し合いを行なってきました。その過程で、廃寮の経緯をめぐる意見の食い違いの調整や話し合いでの解決を目指しましたが、これらの団体からは、「妥協によって得るものはない。これまで通り廃寮反対でいく」、という答えしか返ってきませんでした。

3.駒場キャンパスのさらなる充実に向けて

 旧学寮に居座る旧寮生たちのかたくなな態度は、ここまで進行してきた駒場キャンパスの将来計画にとって大きな障害となっています。そのために、新図書館やスポーツスクエアなどの建設も多大な影響を受けています。

 それはまた三鷹国際学生宿舎の将来計画にも悪影響を及ぼしています。三鷹国際学生宿舎では、すでに605戸の建物と共用棟が完成していますが、まだ395戸の建物と第二共用棟の建設が課題として残っています。現在の経済不況により、安くて快適な宿舎を求める学生・留学生はますます増え、三鷹国際学生宿舎の応募者も増加しています。しかし、旧駒場学寮の建物の取り壊しが完了しなければ、廃寮とワンセットになっている三鷹国際学生宿舎建設計画を完遂することができません。また、老朽化の著しい本郷5寮の建て替え計画にも障害となっています。

 現在の学生会館と課外活動共用施設<新学館>の建て替えも、重要な課題です。特に現在の学生会館の建物は老朽化が激しく、修復は不可能です。そこで、学部と学生の話し合いが重ねられ、多くのサークルからも建て替え要求の声があげられました。学部はこれを受けて建て替えの概算要求の準備にかかっていたところです。しかし、98年11月の代議員大会で、「学生・寮生の総意を作り上げるまでは、予算請求を見送ろう」という議案が可決されました(代議員総数約千名のうち、投票に加わった者62名、賛成47、反対15)。サークル活動の未来を縛りかねない議案が通ってしまったのは驚きですが、サークル活動を重視するこれまでの学部の姿勢に変りはありません。

 キャンパスプラザでは、98年秋以来、活発な活動が行われています。その活動の基礎となっているのは、学部と学生諸自治団体の話し合いの結果生まれた「キャンパスプラザ学部・学生協議会」によって定められた運営規則です。この規則は、学生の皆さんによる長年にわたる学生会館運営の実績に基づいて作られたものです。

 繰り返しになりますが、1996年4月から、教養学部は旧学寮の建物への立ち入りを禁止しています。サークルやクラス活動など一切の用途に使うことはできません。旧学寮の建物へは立ち入らないでください。

 皆さんや将来入学してくる世代のために、より良い駒場キャンパスの創造に向けて、ともに努力していきましよう。