1997年3月26日

声明

東大教養学部学生自治会委員長
駒場寮委員会委員長

1、東京地方載判所は、3月25日、東大当局・国側の申し立てを受けて、駒場寮の1棟である明寮の明け渡しをもとめる仮処分命令を決定した。これは、この間の裁判所での大学・国側と寮生・学生側のやりとりを通じて、大学・国側の明け渡しを求める必要性・緊急性の根拠が崩壊したにもかかわらず、大学・国側の破綻した主張を取り入れたもので、公正さを著しく欠いた決定であり、きわめて不当な決定である。私たちは、怒りをこめて抗議するものである。

2、同時に、この裁判所の命令をもってこれまでの大学当局・国側の主張が正当化されるものではないことを指摘しておく。
この間、東大当局・国側は、「もし駒場寮の取り壊しができなけれぱ、その跡地に建設が予定されている『キャンバス・プラザ』予算を返上しなければならなくなる」「一部の暴力学生が駒場寮を不法占拠しており、盗電によって火災の危険もある」などといって駒場寮の明け渡しを主張、「仮処分の執行費用に一億円以上かかり、将来の袷与を差し押さえることになる」という学部長文書まで出して寮生を恫喝し、その強制的追い出しに躍起となってきた。
裁判所でのやりとりの中で、大学・国側の主張は、完全に破綻した。「キャンパスプラザ」の予算は、来年度に繰り越すことが承認されていたことが判明し、96年度中にキャンパスプラザの着工の見通しがなければ、予算が繰り越されないので3月中に明け渡さなければならないとしていた学部の論拠はくずれた。火災の危険性についても、国側代理人が、「寮の治安が悪く、火災の危険がある」と発言した際に、同席していた東大当局の代表が「そうは思わない」と否定した。また、仮処分の執行に一億円がかかるということもまったくデマであることがはっきりし、裁判所が、「今後、こうした文書をださないように」と注意を与え、大学・国側も了承せざるをえなかった。
寮生・学生側の迫及のまえに、大学・国側は、裁判所の決定が出される直前になって、だれがみても仮処分の申し立て却下は免れえないと思われる北寮・中寮の明け渡しの申し立てを自ら取り下げざるをえなかった。これらは「裁判所の令令で寮生を強制的に迫い出そうとした当局のやり方にまったくの道理がなかったことを、事実上みずから認めたものであり、私たち学生の主張の正しさを証明するものである。

3、学問の府としての大学にあってはならない、この間の、大当局による無法に無法をかさねたやり方は、東大の歴史に大きな汚点を残すものである。明寮の明け渡しと取り壊しを強制的に執行するならば、いっそう事態は複雑になり、問題解決を困難にするばかりである。
大学・国側の主張の通理のなさがはっきりした以上、東大当局は、強制的寮生追い出しの姿勢をあらため、駒場寮への電気・ガスの供給を再開し、学生・寮生との誠意ある話し合いのテーブルにつくぺきである。

4、学生・寮生側の主張の正しさと国・大学側の道理のなさが、この間の仮処分をめぐるやりとりのなかで鮮明になっている。私たちは、新入生をむかえ、あらためて全学の世論と運動をもりあげて、重大な決意をもって当局に話し合いのテーブルにつくよう態度変更をせまっていきたい。
東大を大学当局のやりたい放題、無理が通り道理が引っ込む大学にしてはならない。私たちは、強制的追い出しをやめさせ、駒場寮問題の道理ある解決をめざしてたたかいぬくことをあらためて表明する。東大に学び、働くすべての学生、院生、教職員のみなさんに、東大当局の強引な姿勢をあらためさせるために力をあわせることをよびかけるものである。