緊急声明

                     東大教養学部学生自治会委員長
                             駒場寮委員会委員長

一、学部当局と国が、2月5日、明け渡し断行の仮処分の申し立てをおこない、裁判所の命令によって寮生を強制的に追い出そうとする手続をすすめている。これは大学の中の問題を大学構成員の話し合いによって解決するという大学自治の原則をまっこうからふみにじるものであり、大学の自殺行為である。大学の構成員である学生・寮生の意見にいっさい耳を傾けずに、自らの主張を問答無用の姿勢で、強制力までつかって押し通そうという大学当局のやり方はまったくの道理がないものであり、断じて許されない。私たちは、一貫して駒場寮問題は、自治を保障された学問の府である大学にふさわしく、ねばりづよい話し合いによって解決すべきことを求めてきたが、あらためて学部に対して、誠実な話し合いによる解決を強く求めるものである。

一、25日付で発表された学部長名の文書は、常軌を逸したきわめて異常なものである。それは、明け渡しにおいて総額で一億円以上、寮生一人当り200万円以上もの費用がかかり、それを国は一人ひとりから取り立てることになるということを、なんの根拠もなくもちだし、支払いがなされなければ、財産や就職後の給料をさしおさえると、寮生を恫喝し、それがいやなら3月5日までに退去せよというものである。経済的に苦しい寮生の弱みにつけ込んで、脅し、しゃにむに退寮をせまろうとするものである。私たちは、これまでも学部のやり方を“地上げ屋まがい”と批判してきたが、もはや地上げ屋そのものである。はたして、学問を職として、教養学部を代表する者が口にすることかと驚きとともに怒りを禁じえない。学部文書を直ちに撤回し、寮生の強制的な追い出しをただちに中止することを強く要求したい。

一、同時に、こうしたことが春休みというキャンパスに学生が少なくなっている時期をねらって行われていることも、指摘しておきたい。9月の「占有移転禁止の仮処分」の時も、学生がいなくなる秋休みをまっていたかのようにおこなわれた。ここにも自らやっていることに自信がなく、堂々とした議論で学生を説得することができないという学部当局の道理のなさがしめされている。私たちは、春休みだが、正規の自治団体の会議もひらいて、強制的な寮生の追い出しの中止を断固としてもとめていく決意である。広範な国民のみなさんも、こうした学部の無法を許してはいけないという世論を高め、抗議の声を東大当局に集中していただくことを訴えるものである。