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法的措置とは2百万円の恫喝(どうかつ)のことなのか
──2・25学部長文書の即時撤回と法的措置の取り下げを要求する──
1997年3月1日 小川晴久

教授会メンバーの皆さん、2月27日付で教養学部の「警告」文が出されたことは28日付大森彌学部長名の文書で伝えられていました。28日の第1回審尋が3月6日に延期になったというアナウンスを伴って。しかし、本日(3月1日)、もうひとつの学部長名文書(2月25日付)が、2月27日付債務者と指定された46名┼3組織に届いていることを私は知り、文字通り驚愕しました。まず、左に掲げたその文書を一読して下さい。
 これは、一週間の延期を悪用して、明け渡し断行執行の費用一人当たり2百万円以上を支払う用意と覚悟があるか、それがなければ、明け渡し断行に関する東京地裁の第1回審尋の前日の3月5日までに退去せよというものです。
 まだ裁判が始まってもいないのに、明け渡し断行の仮処分が国(大学側)の望む通りに3月中に出るということを確信した、極めて尊大な通告です。正直に言えば寝耳に水の予想だにしない、地上げ屋か高利貸しの取り立てのような教養学部のやり方に、心底驚愕しました。同僚の皆さん、一読した感想は如何ですか。大森彌新学部長に次の3点を指摘し、2月25日付の左の文書の即時撤回と、どんどん品位の落ちていく法的措置の取り下げを求めます。

  1. 法的措置とは「第三者の公正な判断の委ねる」ことであった筈である。1月28日の「決定書」(寮生側異議申し立て却下)にも拙文(「法的措置が駒場を滅ぼす」2月25日付)で指摘したように「公正な判断」とはほど遠い国(大学)側に加担した認定がなされていて、今回の明け渡し断行是非の裁判も「公正な判断」が期待できない恐れもあるが、しかし、担当裁判官は別人物であり、寮生側の主張に耳を傾けてくれる可能性がある。裁判は寮生敗訴と決まったわけではない。それをまだ審尋が始まらない段階で一人当り「2百万円以上」の本人負担でおどすのは、裁判そのものを無視した暴挙である。「第三者の公正な判断に委ねる」方針自身をも踏みにじる、判決の内容は国(大学当局)が決めるというファッショであり、法的措置はその隠れみのでしかないことを自ら暴露したものである。これだけでも大森彌新学部長は東大教養学部の学部長たる資格はない。
  2. 強制執行に要する費用が「総額で1億円以上、一人当たり200万円以上になるとの説明を受けている」とあるが、一体何百人の執行吏を動員することで1億円以上になるのか、どうして寮生一人当たり2百万円以上になるのか、その根拠を債務者とされた寮生一人一人に示すべきである。その根拠も示さずに一人「2百万円以上」を覚悟しろというやり方は、大学が学生にとるべき方法ではない。かかる文書を出した以上、2百万円の根拠を即刻明らかにするべきである。
  3. 学生の不信を決定的にし、これが前例となって全国に悪影響を及ぼす法的措置を取り下げ、真の話し合いによる解決に立ち戻れ。これを強行すれば、東京大学教養学部のモラルは回復不能になる。